いつもと違う場所に行こう！
というノリで、くらっちょ君を騙して蔵王南麓へ向かう。
お昼前後に強めの降雨予報だったのだが、山がシッカリしているので多分大丈夫。

彼のランドクルーザー70は、今回の旅でめでたく60万キロを超えた。
これまで大した不具合もなく絶好調だったのだが、クーラー稼働時に水漏れが発生。
左カーブでは運転席に、右カーブでは助手席に湧水が…

それでもこの車の本質である走破性に対する信頼は揺るぎない。
タイヤが半分以上埋まってしまっても、センターデフロックで楽々脱出。
再々販も噂されるようだが、トラックと同じディーゼルエンジンは搭載されないだろう。

釣りの方は、飽きない程度の良い魚が釣れてくるのだが、激しい雨を境に少し増水してきた。
泥による濁りではないと思うのだが、川は次第に紅茶色に染まっていく。
落ち葉に含まれたタンニンが溶け出しているのだろうか？

ドライフライへの反応が明らかに悪くなったので、ヤッチーニンフに変更する。
投げにくさはあるものの、良いペースで魚が釣れる。
タナを20ｃｍ程度にしているので、プール瀬尻等の浅い場所からの反応が多い。
この場所に定位しているということは、食欲旺盛な魚であるということなのだろうか？

ここにきてハタと気が付いた。
おとっつあんは魚が釣れていないのだ。
鮮やかなループで、魚の居ない場所を中心に狙っていたようだが、増水+濁りでドライフライでは厳しい局面である。

「いつもに増して無口なようだけど、なんで？」
「全く釣れないので、無の境地に浸っていた」
「無の境地になっても釣れないと思うんだけどなぁ…」
「今シーズン、この川はもう無いと思っていた」

車を出してもらっている義理もあることから、仕掛けをダブルニンフに変更して差し上げる。
投げにくいとか難しいとかボヤいているのだが、聞こえないふり。

退渓地点目前で虚無の男が釣り上げた中々の岩魚。
引き締まった良い顔をしているではないか。

珍しく帰りにラーメンを食べて帰る。