念願の加計呂麻へ向かうべく、奄美空港から南を目指す。
急遽決まった奄美への旅。
どうせ行くのならば…と、弟子を伴って加計呂麻を目指すことに。
しかしながら、滞在予定の3日間の予報はすべて雨。
更に悪いことに、南西の風が強く吹いて波浪警報が出されている始末。
まぁ、自然相手の遊びなので、いつも絶好のコンディションというワケにはいかないと理解しつつも、テンションは下がり気味となる。
ところが、奄美空港に着陸するころには、蒼い空と碧い海が眼下に広がっているではないか!
赤尾木の郵便局で折り畳んだフネを受け取る。
30キロ未満の大荷物2個と、パドルケース1個で7千円未満のゆうパック料金。
飛行機内への荷物の持ち込み料金と比較すると、とてもリーズナブルである。
某猫や飛脚の会社と比べてもとても安い。
郵便局は全国どこにでもあって、そのほとんどが集落の中心に点在している。
集落の中心には、駅やバス停、酒屋(!)などの重要なインフラが集中しているので、何かと便利である。
もっとも、最近では都市郊外型の大型ストアが進出しているエリアでは必ずしも当てはまらないのだが…
国鉄とともに戦後の復興期を支えた国営組織が、規制緩和という名の下に民営化されてしまった。
奄美大島の中心街、名瀬を過ぎると空は徐々に曇りはじめ、マングローブで有名な住用湾に至るころには不穏な空模様と化してきた。
古仁屋のAコープで食料を買い込み、ヤドリ浜へ着くころには天候も回復。
しかし、対岸の加計呂麻からは強い風が吹いてくる。
アダンの木の間にタープを張って、取り敢えず今日の寝床の準備にかかる…
食事もそこそこに、黒糖焼酎にパッションフルーツを投入して飲む。
とても爽やかで洗練されたカクテルに変貌していることに驚く。
気が付けば、月が大島海峡を明るく照らしていた。
夜半、風が強くなった。
寝床に入ってウトウトしかけたころに、突然タープが吹き飛ばされた。
雨は降っていないが、予報では朝方にかけて一雨あるかもしれないとのこと。
暗闇の中タープを低く張りなおすのは、中々骨の折れる仕事である。
やっと眠りについて暫くすると、何やら人の話し声がする。
ケンムン…ではないと思いつつも、妙に気になってしまう。
やがて、「こんばんは。どちらから来られたのですか?」と、2つのライトが蚊帳の中を照らす。
どうやら警官らしい。
「独りですか?この辺はハブが出ますから気を付けてくださいね」
これは変形職務質問なのだろうか?
そうだとすれば、よほど怪しいと思われているか、密入国者と思われているに違いない。
しかし冷静に考えると、キャンプ場がすぐ傍にあるにもかかわらず、浜辺で寝ている人間はどう見ても不審者そのものである。
「起こしてしまってすいませんね。それではおやすみなさい」
いったい何のための職質なんだったのだろうか?
何だか眠れない夜となってしまった。
結局やっと眠れそうになった明け方には、セミが泣き叫び始めていた…
寝不足で撤収が終了したころ、ガイドのゴンちゃんが到着。
さて、今日は何処を旅する?
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